カラダが固い原因は脳にあった!心理的ブレーキを解除せよ。

この記事では脳科学の観点からストレッチについて考えます。体が硬い、は実はただの思い込みかもしれません。

 

【 目次 】

1.無意識による現状維持メカニズムがブレーキをかける

2.無意識のブレーキをはずすには?

3.簡単PNFをやってみよう



 

 

無意識による現状維持メカニズムがブレーキをかける


無意識による現状維持メカニズムがブレーキをかける

人間の脳には無意識による現状維持機能があります。簡単に言えば、人間は無意識に現状維持を好み、これまでに経験したことがないことは拒絶します。

あなたは「私は体が硬いんだ」が口癖のようになってしまっていませんか。そんなあなたにとっては「体の硬い私」こそが心地よいのです。

これでは、いくらストレッチをしても深層心理のレベルで「私はここまでが限界」「余計なことはやめてくれ」などと思っているため、あなたの体は無意識にブレーキをかけてしまいます。つまり、あなたのカラダは硬いままなのです。

 

「火事場の馬鹿力」という言葉を聞いたことがあるでしょう。よほどの緊急時には、人間は普段では想像できないような力を発揮することが可能だというものです。潜在的に有している力の半分(いろいろな言い方をされます。30%だとか50%だとか90%だとか97%だとか)は普段は封印されていると言われております。

その理由として、潜在な力を出し切ると筋肉や骨が損傷するほどのパワーがあるのでそれを防ぐため、脳が無意識的に普段使える力を抑制している(ここでは、心理的ブレーキがかけられている、と表現します)のだと説明されています。そのため、通常時はどんなに頑張っても自分が限界だと思っているところまでしか力を発揮できないのですが、緊急時には、心理的ブレーキがはずれ、普段は出せないところまで筋肉の本来持っている力を解放することができると説明されます。

無意識のブレーキに類する話はいわゆる成功哲学などの分野でも最初に出てくる話なのでご納得いただける方も多いかと思います。

 

  • 無意識の現状維持メカニズム
  • 潜在能力は普段、封印されている
  • 心理的ブレーキが外れる「火事場の馬鹿力」

 

 

 

無意識のブレーキをはずすには?


無意識のブレーキをはずすには?

そこでまず、無意識のブレーキをはずすことが重要です。

しかし、無意識のブレーキというのは自分ではブレーキをかけていることすら自覚がないだけに(無意識だから、です)ひと工夫必要です。

砲丸投げ・ハンマー投げのような種目で選手が投擲の瞬間に大声を出すのを見たことがあるでしょう。あれは心理的ブレーキをはずす一つの方法であり、意図的に興奮状態を高め、普段覚醒していない筋肉の力を呼び起こす効果があると説明されます。

ストレッチの場合、ブレーキをはずすために有効なのが、PNFと呼ばれる手法です(Proprioceptive neuromuscular facilitation 固有受容性神経筋促通法)。

PNFとはリハビリあるいはトップアスリート向けスポーツコンディショニングの分野で発達してきたメソッドであり、短時間で筋肉や関節が本来有する機能を覚醒させる技術です。プロフェッショナルスポーツに採用されており、よく知られた方ですと野球選手の野茂英雄さん、松井秀喜さん、桑田真澄さん、バレエの草刈民代さんなどはPNFに基づく筋コンディショニングをトレーニングに取り入れていたことで有名です。

PNFはストレッチにとどまらず、神経障害でうまく動かせなくなった体の機能を回復するリハビリの世界でも有用とされています。私はPNFを専門に学んだわけではないので詳しい説明は他に譲りますが、ストレッチに関して言えば、収縮から弛緩に移った瞬間には無意識の心理的ブレーキが働かないため、その人がその時点で本来有する可動域までストレッチすることが可能だと理解しています。

よく運動をしている人ならPNFという言葉を知らずとも筋トレやストレッチの場面で自然にやっていることかも知れません。実際、私は誰に教えられたわけでもなく、30年以上前から収縮と弛緩を繰り返すストレッチを取り入れていました。

 

  • 無意識のブレーキは外すことができる
  • PNFは本来の筋肉や関節の働きを呼び起こす科学的手法
  • プロの世界でも実績がある

 

 

簡単PNFをやってみよう

簡単PNFをやってみよう


基本はペアで行います。

長座での前屈を例にとります。身体を前に倒し、もう限界だという場所を探します。ここではその場所を「ブロックポイント」と言います。 ブロックポイントとは 人間の体が無意識に「これ以上は使う必要がない」あるいは「これ以上倒すと危険だ」と心理的ブレーキがかけられている場所だと考えてください。いわば、「自分が勝手に限界だと思い込んでいる」場所です。

 

ここで補助者は背中を押して負荷をかけます。通常のストレッチ運動ですと、抵抗せずにゆっくり呼吸し、力を抜いて押してもらうように、というのが基本なのですがここでは反対に、呼吸を止めて補助者側に抵抗する動きを2秒間行い、その後一気に脱力します。

すると先ほどよりも少し上体が倒れたところでストップします。そこがまた新しいブロックポイントになります。

同じことを3回ほど繰り返します。

この、意識的に抵抗した後、一気に脱力するという動きによって、無意識にブレーキをかけるスキを与えないことが可能になり、短時間でカラダが本来有する可動域を実現することができます。

 

さてこの手法は様々な部位で応用可能です。

 

 

首を横に曲げるという動きをやってみます、

まず右と左に首を倒してみてどちらか硬いなぁと思う方を決めてください。

ここでは右に倒す方がちょっと硬いという前提で話を進めます。「自分史上最高の柔軟性が手に入るストレッチ」P32より引用します。

 

以下、こちらのモデルが左右反転した鏡に映った自分のつもりでお読み下さい。

まず鏡に向かって立ち、首を右に倒して下さい。そしてこれ以上は無理だなというところをで止めます。ここが最初のブロックポイントとなります。

右手を頭にかけてください

右手で首を右下に引き寄せます。 この時、首は反対に左側に起こすように力を入れます。

2秒間この状態をキープしたら首の力を一気に脱力します。

首を右に倒してください先ほどよりも少し倒れていると思います。

これ以上は無理というところで 止めてくださいここが新しいブロックポイントとなります。 先ほどと同じことを繰り返します。つまり右手で首を下に倒し首は左の方へ抵抗する動きをします。抵抗するように力を入れ、2秒キープしたら一気に脱力します。

 

 

どうも脱力っていうのがうまくできない方が少なからずおられると思います。そのような方はこちらの記事、「脱力するのは意外に難しい 呼吸でコントロールするとわかりやすい」をお読みください。

 

  • 収縮と弛緩がポイント
  • 弛緩した瞬間、ブレーキが外れる

 

 

 

 


たかし
たかし

学生時代より器械体操・空手・少林寺拳法・筋トレ・エアロビクス・バレエなどを経験し、自己流で高い柔軟性を体得。解剖学や脳科学の観点からアカデミックに効率的な柔軟性向上と筋力強化に取り組む。東京大学経済学部卒業。